VOICE:2017年
  「勝利への意志」 副将 樋口潤司
 

「悔しさをどれだけ忘れずにいられるか、それが一流になれるかの差だ」小学校時代のサッカーのコーチに言われた言葉であったと思う。誰でも試合に負けたら悔しいに決まっている。しかし、気づけばその悔しさ忘れてしまう。一週間、一か月、一年、どれだけ最初の思いを忘れずにいられるか、そこの違いが重要だ、という話であった。
 
シーズン当初からターゲットに定めながら、何も自分たちのやりたいことができぬまま終わった一橋戦、最終戦必勝を誓って臨んだが後半立て直せなかった武蔵戦。その敗北の無力感を、不甲斐なさを忘れてはならない。確かに去年の東大はいいチームだった。新たな戦術のもと意識も変わり、自分たちのラグビーも少しずつ見えていた。チームはいい方向に進んでいる、そういう実感が部員の中にはあっただろう。しかし、目を逸らしたい部分こそが僕たちの原動力とすべきところだ。
 
勝負の局面は、対抗戦だけに限ったことではない。今年は、日々の練習の中で一回一回の勝負にもっとこだわりを持ってほしい。毎日長時間のコンタクトは難しい。だからこそタックル、ブレイクダウン、それぞれの接点で目の前の相手に勝つことにプライドを持とう。小さなところで目標を作ってもしょうがない、と考える人もいるかも知れない。だが、一番身近なチームの人間に負けて平気で、対抗戦で勝つなど言えようか。”優しく” ”優等生な”東大生はもういらない。もっと勝ち負けに貪欲であるべきだ。 
 
今年はすべての試合に勝ちに行く。いつしか、戦う前から自分たちのなかに壁を作っていたように思う。相手は名門校だから、選手を集めているからと。相手の方が経験もセンスもある。そんなことは最初から分かっている。そこに勝ちに行くからこそラグビーをやっている意味があるのではないか。この恐れを解消できるのは日々の積み重ねだけだ。自信を持って、勝てると信じられるよう地道な練習を重ねていこう。
 
偉そうなことをずいぶんと書いてしまった。この文章は、メッセージであるとともに、自分への戒めでもある。自分は対抗戦にずっと出場しながらも期待に応えるようなプレーはできなかった。今年こそは、とい言うのは都合がいいのは分かっている。それでも、今年こそは常に最前線で体を張り続ける。その覚悟をもってチームを引っ張る。後輩の皆には、僕ら4年生のために頑張ってくれとは言わない。ただ自分自身のプライドをかけて1年臨んでほしいと思う。そして、ともに勝ちをつかもう。  
 
東京大学ラグビー部副将
樋口潤司