昨年の結果、対抗戦3勝4敗。チームが掲げていた5勝以上という目標は果たされずに幕を閉じた。やってきたことに間違いがあったとは思わない。ただわずかに経験不足なところがあった気がする。それは予想外のアクシデントが起きたとき、大きなダメージをもたらすもととなる。想定外の状況にのまれ、悪い方向への流れを止められなくなってしまう。これが勝敗を分けることもある。経験不足とはラグビー理解度のことだけではなく、勝利ということについても言える。まだまだ勝ち慣れているとはいえない状況だ。強い相手に対し、点数ではリードをしたとしてもなぜか逆転される不安、このままでは終わらないという恐怖が襲い勝手に自らを追い込んでいる。まるでこちらが負けているかのようなストレスを感じさせる。そのような印象を受けた試合がいくつかあった。そしてそのマインドは勝利を大きく遠ざける。
試合前には誰しもが絶対勝つという思いを抱くであろう。しかし、試合が進むにつれて対戦校の実績、出身校の強さに恐れる心が生まれたりしていないだろうか。一つのコンタクトで負けたとき、抜かれたとき、点差をつけられたとき、さすがだななどと思う気持ちが一ミリたりともないと言えるだろうか。もし身に覚えがあればそれこそが負の連鎖への発端だ。このような感情は体をこわ張らせ、動揺させ、ミスを呼び込む。ミスによってプレーが消極的になりアタックが機能しなくなる。トライは取れず、点差だけが開いていくことになる。
そしてこれを解消するには自信をつけることが必要だ。確かな練習と経験の積み重ねによってこのような気持ちが生じないようにしなければならない。格上に勝つにはその相手以上の練習をしたという自信、だから勝てるという信念が必要だ。昨年は確かにいい練習をしてきた。しかし自信は十分ではなかった。
だからこそ今マインドチェンジが必要である。それも劇的に変わらなければならない。それは単に変われ変われと言っていて実現することではない。これだけやってきたという実感に裏付けられて初めて変われるものである。そのために今できること、それはひたすらトレーニングに取り組むことだ。そして実感をもって変わる。その先に入替戦出場という目標の達成が成し遂げられるのであろうと考えている。
今年のチームのために主将としての自分には何ができるだろうか。それは派手なプレーで目立つようなことではない。そのようなことはできたことがない。自分らしくただひたすら体を張ってタックルに刺さり続けることだと思う。ここだけは譲れない。そしていまチームに必要なのは一人一人が主体性をもち、ただ監督コーチや首脳陣に言われたことだけやるという受け身の姿勢を解消することだと思う。それぞれが自分に何が足りなくてどうすれば成長できるか、よく考えて実行することが求められる。誰しもがスイカを着る覚悟を持って取り組まなければならない。
我々は東大生である。目標のために努力することをよく知っている。そしてその結果得た達成感を味わったことがある。その感覚をラグビーでも味わってみたい。そのために今全力を尽くすのみだ。
東京大学ラグビー部主将
松永 迪之
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