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たまに聞いている深夜ラジオだったか、そのパーソナリティのエッセイ本だったかは忘れたが、いつまでも胸に残っている言葉がある。
「そうだよな、こうなったらもう生き様だよな!」
高校生のアメフトの試合を見ていて、大敗している中でも果敢に相手に走り込んでいくQBの姿に思わず叫んでしまった、とその人は語っていた。競技は違えど、年齢も違えど、ラグビーをする自身の姿に重ねて考えられずにいられなかった。そこから、生き様という言葉は自分の中で一つの指針になった。
ラグビーの試合では、その人の生き様がプレーに現れる。自身の心技体を形成するそれまでの生き方、そのシーズンをどのように過ごしたかが勝利に直結する。テクニックは補完するものであっても、本質ではない。闘争心をもって練習に本気で取り組んだのか、それとも言われたメニューをただこなすだけだったのか。スクラムセットアップの1mmにこだわったのか、それとも妥協して1%の成長を諦めたのか。規律正しく自分を律して行動できたか、それとも何も考えず自堕落に過ごしたのか。過ごす日々の全ては未来のラグビーにつながっている。だからこそ、いつかの試合を制するためにも、自分が後悔しない良い生き方を常に選択し続けないといけない。
今年度は、学生の主体性が大きく問われる年になる。目標の「入替戦出場」の達成は、一人ずつが未来を見据えて成長できる生き方を主体的に選べるかどうかに懸かっている。まずは小さな行動から始めていけばいい。挨拶する。練習で発言する。ウェイトでオールアウトする。少しずつの個人の成長を積み重ねていけば、チームとしても必ず成長する。そのときに、自ずと目標達成への道が開けるはずだ。
20年ほどしか生きていない人生で、生き様・生き方なんて大層な言葉かもしれない。ただ、これまで東大ラグビー部で過ごした時間、ラグビーに捧げた人生全てが紛れも無く自分を構成している生き様だ。恥ずべきことも多々あったが、もう変えられない。しかし、この1年間の生き方は、今の自分が決められる。おそらく死ぬ間際も思い出すこの1年間、最善の生き方で生きて、最高のラグビーをしたい。後輩をはじめ、特に同期の4年生には下級生の手本となるべく、入替戦出場に向けて一緒に最善の生き方で歩んでほしい。
最後の笛が鳴るその瞬間まで、勝利に向けて生き様を刻もう。
2024年2月5日
東京大学運動会ラグビー部副将
池上暁雄
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