監督

東京大学ラグビー部
2013年度監督
内田 恒次
健全な精神は健全な肉体に宿る

 新入生諸君入学おめでとう。
 諸君はようやく自立への準備が始まったばかりだと思います。私は、諸君がこれまでの受験勉強の期間に何か重大なことを忘れていませんかという問いかけで諸君を東京大学運動会ラグビー部の仲間になることをお勧めします。「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉があることを知っていますか。その言葉を象徴する人が、昨年、iPS 細胞の発明でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授ではないかと思います。彼は整形外科医として挫折しながらも、研究者として再生し、努力の結果として、難病に悩む人々に生きる希望を与える発明をしました。彼のこの精神力はどこから来たものでしょうか。勿論、本人の才能があるでしょう。それにも増して、才能を開花させ、育んだ大事なものがあると思います。その大事なものを大学時代に身につけたのではないでしょうか。彼は大学時代にラグビー部に所属し、ラグビーを楽しんだそうです。この時代に身体を鍛え、諦めない心、社会性即ち健全な精神を育てたのだと思います。
 受験戦争を努力の成果として勝ち抜いてきた諸君、これからの4 年間をどう過ごそうと考えていますか。喜びに浸り、ホッとしている今現在、諸君には及びもつかないことかと思います。しかし、山中教授に例を取りましたが特に東大生にとって大事な時期です。この大事な時期を東京大学ラグビー部で過ごしてみたらどうでしょうか。
 ラグビーというスポーツを簡潔に説明します。「第1には楕円形の球をハンドリングしたりキックしたりする球技です。第2に楕円球を奪い合う格闘技です。第3にいろいろな体格、身体能力の人それぞれが活躍できる団体競技です。」言い換えると「第1に誰でも楽しめるスポーツ。第2に生きるための本能を呼び起こすスポーツ。第3にお互いに支え助け合う心を求めるスポーツ(one for all, all for one)。」であると考えています。又、ゲームの終了をノーサイド(no side)と言いますが、ゲーム終了後は敵味方もなくなり、勝敗を超え、お互いの健闘を称えあう紳士に戻ります。このラグビースピリットを育んでいる東京大学ラグビー部でクラブ活動を楽しみ一生の友を作るとういうことがいかに大学生活を充実させるか、経験した者でしか分かりません。
 私達は、現在、関東大学対抗戦グループのBに所属し、早稲田・慶應・明治が所属するAに昇格するために悪戦苦闘しています。10年前、私達は彼らとAでラグビーを やっていたのです。何とかAに戻ろうと努力しています。そのために挑戦的な君たちを必要としています。ラグビー経験の有無は問いません。やってやろうじゃないかという元気を必要としているのです。
 東京大学ラグビー部は1921 年以来の伝統と歴史を誇り幾多の卒業生を社会に送っています。現在の諸君には見えない部分ですがこの伝統と歴史(先輩との繋がり)は社会に通じる縦糸となり、気がつかないうちに社会勉強となり、真のリーダーとしての心構えを身につけていくものと確信しています。
 最後に、元気な君達とラグビーグランドで会うことを楽しみにしています!!!
内田 恒次
昭和43 年卒部。大学時代はWTB として試合で活躍した。工学部を卒業した後、新日本製鐵株式會社(現新日鐵住金株式会社)に入社。現在は第一線を退いている。東大ラグビー部の監督としては、就任6年目を迎える。好きな擬音語は「ぎゅーっ」
主将

東京大学ラグビー部
2013年度主将
川島 淳之介
自分から「東大生」を引いたときに何が残るか

―初めてもらった誕生日プレゼントがラグビーボールだったそうですね。

 そうみたいですね(笑)。自分では全然覚えていないんだけど、小さい時からずっとラグビーボールで遊ばされてたみたい。

―川島さんはラグビー名門校である茗溪学園でキャプテンを務め、関東高校代表にも選ばれました。ラグビー推薦の声もあったと聞きましたが、なぜあえて東大に入学したのですか。

 ラグビーだけ出来ても生きていけないし、勉強だけやっててもかっこよくない。両方出来てなんぼ、みたいな思想が自分の中にあって。中学一年生のとき学年主任の先生に、「部活も勉強も出来るスーパーマンになれ!」と言われて、それかっこいいな、と。やっぱりかっこよくなりたいから。そのときは東大に入るとは思ってなかったけどね。

―東大に入ってみて、自分が今までやってきたのとは違うレベルのチームで、様々なレベルの人たちと一緒にプレーしてどんなことを感じますか。

 もともと強いチームが勝つのはある意味当たりまえで、逆にそれほど強くないチームに入ってそのチームが強くなったならよりかっこいいなと。下から上がっていく、挑戦することがかっこいいし、東大ラグビー部はそれが出来る環境。東大の仲間は自分が今まで一緒にやってきた人たちの中で一番まじめだし、ひたむきにラグビーに取り組むから、そこに強くなる要素があるのかなと思う。

―キャプテンとして今年の抱負を聞かせてください。

 僕は大学に入ってからずっと対抗戦一部昇格を目標にしてラグビーをやってきて、そこまでの距離というのは三年間で十分掴めたと思うので、今度はその距離を詰めて、追い抜いて、上にあがってやろうと思います。

―新入生に何か一言お願いします。

 東大に入るっていうのはやっぱりすばらしいことなんだけど、新入生の君たちには「東大生」というものを引いたときに、何が残るかというのを考えてみてほしい。僕は自分から「東大生」というものを引いたときに、大きく「ラグビー」という自信が残ります。皆さんにも、自分から「東大生」を引き算したとき何が残るか、ラグビーを是非残してほしいなと思っています。

川島 淳之介(かわしま じゅんのすけ)
1990 年4月23 日生まれ。茨城県私立茗溪学園高校出身。同校では主将を務め、関東高校代表にも選出された。1年の浪人を経て文科三類で東大合格。その実力は折り紙つきで、1年次からレギュラーとして不動の10 番を誇る。現在、文学部行動文化学科社会学専修課程所属。今シーズン、主将を務める。好きなスポーツ選手は「稀勢の里」
新歓代表

東京大学ラグビー部
2013年度新歓代表
磯崎 智大
自分にとって挑戦し甲斐のある場

新入生の方へ
入学おめでとうございます。
私はここで三つのことを書こうと思います。

 一つ目は、受験競争から解放されたのも束の間、もう新たな生活が始まっているということです。少しばかり早いですが四年後に大学生活を終えたあとの自身を想像し、心から満足できているか自問してみてください。翻って今、もちろん、やりたいことはたくさんあるでしょう。学問、スポーツ、遊び、恋愛、アルバイト、ボランティア、インターン、旅行、留学・・・。しかし時間は限られている。ならば、最も多くのことを得られ、学べ、感じられる、そんな場所に身を置くことが最も必要なのではないでしょうか。私達はそれを実行する環境が整った集団です。ラグビーをとことんやって戦いに勝つ。その上で、学業で優秀な成績を収める部員、ボランティアに精を出す部員などたくさんいます。恋愛然り、旅行然り。充実した毎日は自分の努力で作り出すものだとは思いませんか。

 二つ目は、ラグビーというスポーツについて。細かなルールは抜きにして、一言で言えば闘いです。ぶつかり、叫び、走り、飛び、ボールはパスもキックも可能です。これほど自由度が高く本能的にプレーできるスポーツは他にありません。そして、私たちの今年の目標は一部昇格。目標に向かって共にグラウンドで戦える仲間を私達は探しています。

 最後に、特に未経験者に向けて。ラグビーというのはとてもタフなスポーツ。しかし、入部するのは中高の経験者だけでは決してないということ。私自身、ルールも分からない未経験者でしたが、同期の経験者に追いつき、追い越したいというのはいつも私の原動力でした。きちんと段階を踏んで努力していけば、必ず心身ともに成長し、大きな相手に立ち向かえるようになるものです。小さい、弱い、よく知らない、僕にはできない。そんなことは関係ありません。自分を成長させたい、心から信頼できる仲間を得て、共に真摯に一つの目標に向かいたい。そのようなアツい気持ちさえあれば最初は十分です。怖がらずに一度、まずは新歓イベントに来てみてください。

磯崎 智大(いそざき ともひろ)
1991年12月26日生まれ。神奈川県私立聖光学院高校出身。高校時代は少林寺拳法部に所属。文科一類に現役合格した後、本人曰く「全く衝動的に」ラグビー部に入部する。未経験者ながら努力を重ね、昨年はA チームで試合に出場する程実力を伸ばす。現在、法学部政治学科所属。今シーズン、勧誘代表を務める。好きな歌手は「いきものがかり」
OB/OG

昭和44年卒部
最高裁判所判事
大谷 剛彦

――東大ラグビー部の4年間をどのようなときに思い出しますか?

私は,社会人になってから裁判所という公の組織の中におりますが,その仕事,生活の中で日常的に,一つの,そして大きな経験として思い出しています。ラグビーのフェアプレー,フェアジャッジの精神やワン・フォー・オール精神がベースになっていますし,4年間スクラムのプロップを務め,組織における支柱の役割,個人の力を組織の力にするための姿勢などを参考にしています。

――4年間を一緒に過ごした同期はどのような存在ですか?

今は亡きキャプテンが福島の山中を独力で開墾してミニグランドを造ったことに象徴されるように,同期には経済部門,技術部門,公務部門,文化部門などに個性的というかユニークな友が多いのですが,集まれば「あの頃」の話で盛り上がります。皆「あの頃」を糧にそれぞれの部門で伸びてきました。立場上交際にも気を使いますが,同期は間違いなく最も信頼の置ける貴重な存在です。

――4年間で一番嬉しかった出来事はなんですか?

四年生のときは大学紛争の真只中で練習に集中できず,シーズンの成績は振るわなかったのですが,シーズン最終の伝統戦に秩父宮で快勝し,監督から「終わりよければすべてよし」の言葉をいただきました。それまでの労苦が吹き飛ぶように嬉しく,また,最後まで頑張れば報われることがあるとの教えになりました。
大谷剛彦(おおたに たけひこ)
大学時代のポジションはPR。法学部を卒業した後裁判官としてキャリアを重ね、最高裁判所事務総長、大阪高等裁判所長官を経て平成22 年より最高裁判所判事を務める。


平成6年卒部
OB会強化委員長兼コーチ
金子 浩士

――東大ラグビー部4年間をどのようなときに思い出しますか?

仕事が一段落した、ふとした瞬間に思い出します。あの時何故トライを取られてしまったのか。勝った試合はどうやって勝ったのか忘れましたが、負けた試合はどうやって負けたのか、鮮明に覚えています。根本的に負けず嫌いなので、学生時代の苦い経験を社会人ではしたくないと、潜在的に思っているのかもしれません。

――4年間を一緒に過ごした同期はどのような存在ですか?

一言でいえば戦友。社会に出てそれぞれが勤務している会社、仕事の内容がどのように変わろうと、同期と一緒のときはいつになっても学生時代の出来事が話題になります。一方で、過去だけでなく、今の東大ラグビー部のことや、自分達の仕事のことを語り合い、お互いに刺激し合う良い関係です。

――4年間で一番うれしかった出来事はなんですか?

大学4年の時、それまで2 連敗していた成城大学に完封勝利した時です。先の質問にあるように、どうやって勝ったのかは覚えていませんが、慶応に勝った時よりも気持ちが充実していたことを覚えています。
金子浩士(かねこ ひろし)
大学時代のポジションはFL。大学院に進学した後、株式会社日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)に入行。NY 勤務等を経て、現在みずほコーポレート銀行本社勤務。OB会強化委員長及びコーチを務め現役を支える。


平成24年卒部
東京大学大学院修士2年
瀬能 未奈都

――ラグビー部の4年間を思い出すのはどのようなときですか?

ラグビー部を思い出すのは、試合で後輩の活躍を見たり、ホームページなどで後輩が頑張っている写真を見る時です。現役時代は自分も後輩達と同じように毎日必死で頑張っていたのだな、と思うと懐かしさが込み上げてきます。楽しい思い出も、辛い思い出も、今では全て笑って語れる良い思い出です。

――4年間を共に過ごした同期はどのような存在ですか?

試合に出られないマネージャーという立場の私にとっては、同期は自分の想いを託すことのできる存在でした。また、同期の頑張る姿を見て、自分も頑張ることができたり、悔しさ、嬉しさを共有できる大切な仲間でもあります。四年間で最も多くの時間を共に過ごした同期は、お互いの性格もよくわかっており、卒部した今になっても会うとほっとできる存在です。

――4年間で一番嬉しかった出来事は何ですか?

一番嬉しかったのは、4年生で公式戦初勝利をした成城戦です。それまでは新チーム発足後、春、夏の定期戦、対抗戦初戦まで全敗。部員の努力を間近で見て、今回こそは勝てる、と信じているのに負けが続き、毎試合後悔しい気持ちでいっぱいになりました。そんな中ようやく手にした成城戦勝利に「やっと勝てた」と皆で泣いて喜んだことは忘れられません。
瀬能未奈都(せのう みなと)
大学時代はマネージャーとしてチームを支えた。工学部電気電子工学科卒業後、東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻修士課程に進学。太陽電池の研究に取り組んでおり、昨年フランクフルトで開催された国際会議ではPoster Award を受賞した。
 
新歓代表

 平松正大(4年)  hrmt.mshr@gmail.com

マネージャー勧誘担当

 栗原菜緒(3年)  nao7rn@yahoo.co.jp


Facebook新歓アカウント turfcshinkan